妻の理解

michira2008-03-20

 スポンサーキットの大きな封筒に、妻が気づいた。別に隠し立てするつもりは無かったが、事の一切は妻に話していなかった。
 我が家は『共働き子無し』いわゆるDINKSで、夫婦と云えども財布は別々である。したがって私の収入をどう使おうと文句を言われる事は無い。
 妻の問いに一言「募金した」と答えた。すかさず「なんで?いくらしたの?」と問い返された。私自身、逆の立場なら同じようなリアクションをとっただろう。私も妻も、悪人では無いが善人でもない、基本的に自分の半径5メートル以内にしか感心の無い人間だからだ。
 「気が向いたから。4,500円。」とだけ答える自分。
 正直、動機やスポンサーシップの意義を唱えるのはこっぱずかしい。というよりも、そんな人間に対しては胡散臭い目で見るか、変な宗教がらみの洗脳に嵌ったのではと危惧するのが、少なくとも妻を含め私の周囲の人間の、当然予想される反応である。
 当初から人に強要するつもりも無いし、これ見よがしに語るつもりも無かったが、変に隠して後ろめたい思いをするよりも妻には報告しておいた方が良いと思った。たとえ家計上の問題は無くても、だ。
 「禁煙するための動機補強のため、月々の煙草代をスポンサーシップに充てる事にした。」という言い訳も用意しておいたが、妻の詰問はそれ以上には及ばず、おかげで私の愛煙生活も安泰の運びとなったのは幸か不幸か。

 翌日、炬燵に入りながら各々の時間を過ごしている際に、私は資料を広げて眺めていた。適当な頃合を見計らって、一言「この子が俺が担当する事になった子」といってD.D君のチャイルド紹介カードを妻に見せた。
 前述のとおり、合計20文字弱の説明しかしていないので、妻はここで初めてチャイルド・スポンサーシップの1対1支援システムを理解したようだ。
 「かわいい子だね。バングラデシュってどこだっけ?」と妻は興味を示した模様。資料にざっと目を通すと、あとは自身でWEB検索して私と同程度の理解を得たようだ。ここでいう理解は、comprehension と understandingの両方である。

 我ながら良い妻を持ったものだと、10年前のめぐり合わせに感謝した。